1月23日に大雪の降った、その2日後、空は文句なしの快晴だ。
寒風の吹き抜ける早朝7時頃より、マイナス4℃の中、黙々と松の葉を手入れする職人の姿があった。
凍える指先、頬や耳をかすめる刺すような冷たさは雪掻きをして分かった厳しい冬の体感温度だ。
多分、地下足袋を履く指先もかなりの冷たさがあったに違いない。
11月の中頃から1月いっぱいはかかる松の手入れは、すべて剪定鋏を使って葉の一本一本を刈り込む作業だけに忍耐と根気強さがいる。
1日3万円の日当を貰っても尻込みしたくなる作業だ。
勿論、雑草を刈るわけとは違い年季の入った技術も必要だ。
「大将、今日は寒いだろう。大変だよね?」と松職人の親方に声を掛ければ、「仕事ですから・・・」と余裕の笑みで返事が返ってくる。
黒松の防虫駆除やこの毎年の手入れに風物詩を感じながらも仕事のご苦労に頭が下がり感謝の念が湧く。
大栄カントリー倶楽部の日本庭園をモチーフにした佇まいは、知る人ぞ知る静かな人気を醸し出している。
コースに立派な松も池を彩る四国の青石も不要かも知れないが、素材を惹きたてる和の盛り付けは、よりいっそう料理の旨さを盛り上げてくれる。
それと同じく、ゴルフの18ホールのラウンドを人生の縮図と考えるならば、コースの中に侘び寂のあるステージがあっても決しておかしくない。むしろそのコースのステータスさえ感じる。
名も無きバブルの落とし子のようなゴルフ場が、再建後、会員の手によってここまで凛々しい黒松のように成長してきた。
その成長の喜びを知るものは、30年に渡る倶楽部史の全容を知るものと凛としてコースに鎮座する黒松にしか分かりえない足跡なのかも知れない。
少なくとも倶楽部を愛する会員相互の気持ちは、全国にある著名なゴルフ場の域に達していると思える。
素晴らしきかな大栄カントリー倶楽部
素晴らしきかな日本庭園の佇まい
ゴルファーとしてのクオリティを彷彿とさせるコース
黒松の年輪と葉の青さが、その資質を物語ってくれそうなコースであって欲しいといつも願っている。
(参考資料)
わび・さび(侘・寂)は、日本の美意識の1つ。一般的に、質素で静かなものを指す。本来侘(わび)と寂(さび)は別の概念であるが、現代ではひとまとめにされて語られることが多い。
. 龍安寺方丈庭園(石庭)。ここは曇っていてはだめだ。強い陽射しではない明るい日の中で観る古茶けた塀にこそ侘びを表象し、その塀の微妙なる色合いの変化こそが、この庭の凡てである。然びたる石庭 .
あの日はこんなに雪があって、みんな雪掻きに奮戦していた。
9番ミドルホールのティーグランド脇のボタン桜が数本枯れてきているので、新しく苗木を増殖した。
進入路のソメイヨシノも中央部分の桜が数本枯れてしまった。
ここには、3月中に19本ほどのな苗木を増殖する予定。
大栄カントリー倶楽部は、日本庭園のコースを大切に育てて行きます。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます!
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